毎度更新遅くてすみません。
今回はチャンミン目線です-changmin side-
「うわぁ~ひろっ!おっ、ゲームあるじゃん!」
部屋に入ってからユノヒョンはテンション上がりまくり。
「なぁっチャンミナ!最新DVDも観れるみたいだぞ!」
無駄にでかい液晶テレビの下で、目をキラキラさせながら番組表を見ている。
子供か。
普段は落ち着いてて頼れる兄貴分なくせに、時々やけに子供っぽい。
彼の根本にある純粋さゆえの行動なのかもしれないが、そんなヒョンを見るとたまに僕は自分が年下である事すら忘れてしまう。
まぁ今みたいな状況の僕にとっては、そんな色気ゼロのヒョンにありがたく思うのだけど。
「…少し遊んだら帰ってくださいよ?」
「うんうん、なぁチャンミン一緒にゲームしよっ」
「嫌ですよ、僕はこれからシャワー浴びて寝るんですから」
「えーいいじゃん、これ一回だけやってみたいんだもん」
ヒョンが持っているゲームを見やると、それは確かに自分も一度やってみたかったゲームだった。
「い、一回だけですよ」
「やったー!」
素直に喜ぶヒョンを可愛いと思ってしまう自分はかなり重症なんじゃないかと、無言で頭を抱えながら、僕はそのでかい液晶画面の前に座った。
…
「あぁ~なにこれ、面白すぎ」
「ホント、最高だなっていうかチャンミンやっぱ上手いな」
「こういうの、好きなんです」
一回のはずだったのだけど、ついつい楽しくて熱中してしまった。
ユノヒョンと遊ぶのはすごく久しぶりだったけど、やっぱり楽しい。波長が合うというか、言葉なくこうやってゲームを一緒にやっているだけでも、気持ちがリラックスできる。
ま、それもゲームに夢中になってたから出来たことなんだろうけど…
「それじゃ、僕はシャワー行ってきますから」
立ち上がって声をかけると「もう終わり?」とでもいうように寂しげな顔で下から俺を見つめるヒョンに、ドキリと心臓が脈打った。
「そ、その間に帰ってもらってもいいですからね」
平常心を乱されたことを悟られないよう強気な口調で言えば、ヒョンはさらに悲しげに顔を歪めるから、僕はもう何も言えずに浴室に向かった。
シャワーを浴びながら僕は考えていた。
ヒョンは一体どういうつもりでついて来たのだろう。ここがラブホテルだというのはいくらユノヒョンだって分かっているはずだ。だからこそ僕が他の男と入るのを止めたんだろうし。
仲の良い後輩に、自分の事が好きだと告白されて。
その男に「好きの意味を分かってない」とフェラされて。
しばらく距離を置いて、久しぶりの再会の後に、どうしてこうなる?
どうしてラブホテルなんて一緒に入ろうという思考になるのか、僕にはヒョンの気持ちがさっぱり分からなかった。
こんな全てが整った環境で、二人きりで一晩何もせず過ごすなんて、正直自信がない。きっと僕の身体は、意思に反してなんとかヒョンと一つになろうと必死になるだろう。それが男の性欲というやつで、それを防ぐには肉体的な距離をとることが一番の抑止力になる。
だから僕はドアを開ける時、ヒョンがそこにいない事を願った。
…
帰った…?
神様への祈りが届いたのか、シャワーを浴び終わってドアを開けると、テレビ画面の前にもうその姿はなかった。
僕に冷たくあしらわれて、気分を害したのか。一通りゲームをして満足したのか。
次はいつ会うことになるだろう。
ホッとしながらも、すでに次に会える日のことを僕は無意識に考えていて。
思わず顔を緩めながら、ベッドに入ろうとシーツに手をかけて、僕の身体は固まった。
「…~ッユノヒョン!!」
200㎝くらいありそうな大きなベットの奥半分に、ちゃっかり入り込んで顔と手だけ出してニコニコしているヒョン。
その図々しさに呆れて言葉が出ない。一体この人の神経はどうなってるんだ。警戒心というものが存在しないのか。
「あなたって人はホントに…」
「チャンミン、このベッドすごいフカフカ!」
「いいから出てってくださいっ!泊まらないで帰るって約束したでしょう!?」
ここで寝る気満々の身体を引きずり出そうと、僕はヒョンの腕を引っ張った。
が、脱力した身体はびくともしない。
「いいじゃんちょっとくらい~」
「良くないです!は、や、く、出ろって……っわ!」
必死にヒョンを引っ張っていた僕の腕が、突然奥から出てきたもう片方のヒョンの手に掴まれて、そしてそのまま勢いよく引っ張られる。
反発するように力を入れていたはずなのに、僕の身体はいとも簡単にそのバランスを崩し、ヒョンの胸に被さるようにして倒れた。
あまりに突然の事すぎて言葉も出ないし身体も動かなくて。目だけパチパチさせた僕の耳元に、ヒョンのさっきよりずっと低い声が降ってきた。
「…ねぇチャンミン、さっきの男と何するつもりだった?」
さ、さっきの男?
それは先程まで一緒にいたカメラマンのことを指しているのは間違いなさそうで。
「何って、だから個人的に撮影に付き合ってあげようとしただけですって…!」
頬に感じるヒョンの胸板の厚みに、顔が一気に熱くなる。慌てて起き上がろうとした僕の手首は、ヒョンの強い力に遮られた。
「もし今みたいに、襲われたら…?」
ついさっきまでゲームをやって喜んでいた純真無垢な少年が、今僕を組み敷いて問いかけてくる。
「ぼ、僕だって男ですよ!そんなの…っ」
あ、れ…?
抵抗しようと力を入れてみるも、その腕はほとんど動かない。
更には逃げるどころか一瞬で体勢を逆転させられてしまった。
「っ…ぁ…」
ベッドに沈んだ僕の身体を、押さえつけるように拘束するヒョン。上から僕を見下ろすその顔は、口元にうっすら笑みを浮かべて、これまで見たことないような表情だった。
「自分の身は、自分で守れるんだよな?」
「……っ」
顔を傾けて聞いてくるヒョンに、悔しい気持ちと恥ずかしい気持ちが、同時に押し寄せてきて何も言葉が出ない。
今この瞬間心筋梗塞を起こしても気付かないくらい、胸がドキドキして締めつけられる。
そんな息も止まる様な時間が数秒続いたと思ったら、目の前のヒョンがふっと息を吐いて笑った。
「そんな顔するなよ、…キスしたくなる」
……!?
「な、何言ってんですか…っ?」
自分がどんな顔してたのか知らないけど、怒りと羞恥で沸騰しそうに熱い。
僕は本当にユノヒョンの気が狂ったんだと思った。
でなければ、この人がこんなこと言うはずがない。
ユノヒョンはちゃんと女性が好きで。しかもエヨンヌナみたいに、美人で性格も良くて、誰からも好かれる女性。
僕みたいに内向的で短気でひねくれた性格の男なんかに、
キスしたいなんて思うはずない。
「冗談はやめて、早く離してください…っ」
「冗談じゃないよ。本当にチャンミンにキスしたいって思ったから」
拘束から逃れようとよじる手首をまた強く握り返された。
さっきまで子供の様にふざけてたと思ったら、突然男の顔になって。
どこまでが本気なのか、いやむしろ全てが嘘なのか、僕にはわからない。
「そういうのは、好きな女に言ってくださいよ。ヒョンにそんなことふざけて言われて、いくら僕だって多少傷つ…」
目の前が暗くなったのは、ユノヒョンの顔で視界を遮られたから。
唇に、温かく柔らかい感触。
何度も触れたいと思っては諦めたそれ。
それが今、自分の意思でなく僕に重なって感じる。
僕はヒョンに、キスされていた。
もともと「砂漠の果実」はホミンでいこうと思ってたので、最近頑張ってホミンの写真を集めて、ホミン脳にしています(汗)
つくづく自分がミンホ脳なのだと思い知らされるこの頃です(´-ε-`;)チョア!と思ってくださった方は↓をぽちっと♡
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